弊ロドスに関しまして。

アークナイツ。月パス。月スカ勢の活動記録

贅沢な葛藤

「これは悩ましいですね」
「ああ。本当にどうしたものか…」
 1.5周年を記念したリミテッドスカウト。幸いなことに用意していたチケットや合成玉にて、シーとサガは引き当てることが出来ていた。★5のオペレーターであるウユウが、二枚と余り引けていなかったので、ありったけのチケットを投入してウユウの三枚目を引くことが出来たのだが、その課程において贅沢な悩みを抱えることとなっていた。
「サガが三枚。これはこれで喜んで然るべきことなんですけどね」
「いや、それは重々承知している。だから悩ましいんだ」
 そう。ウユウを引く過程において、サガを三枚も引き当てていたのだ。
「それにですよ。百二十連で★6を四枚。すり抜けなしで、シーとサガ三枚ですよ。確率的にも十分すぎる程の成果ですよね?」
 御堂部長の主張は間違っていない。十分に”勝ち”と云える成果なのだ。だが、弊ロドスではリミテッドスカウトの目標としてシーを第一目標とし、サガは重要視していなかったのだ。

 ——サガは戦略的に機能するのか?

私は経営会議において幹部の前で疑問を投げかけていた。
サガはシージ以来となる通常型の★6先鋒オペレーターである。弊ロドスにおいてもシージは長い間、第一線で活躍していた。必ずといっていいほど先鋒ではシージが真っ先に編成に組み込まれていた。2ブロック且つ高い殲滅力。序盤であればシージ一人で一レーンは封鎖し続けることが可能である。だが、問題もあった。それはコスト回収能力。S2は高い殲滅力を誇っていたが、スキルを放てないとコストが回収できないという問題を抱えていた。更にはテキサスが加入したことにより、最序盤はテキサスのほうがコスト回収能力に優れるため、シージの出番は無くなっていった。そしてマウンテンの台頭。序盤で数を捌く必要がある場合はマウンテンを出すという選択肢が出来てしまっていた。しかもマウンテンはコストも低く、前衛がゆえにステータスも軒並み高い。もう、シージの出番は完全になくなっていた。
 このような状況下でシージと同様の先鋒。果たしてどこまで活躍できるのか懐疑的な見方となっていたのだ。更には危機契約#4にて露呈した弊ロドスの術師不足。この問題を直接的にシーと炎獄ラヴァを育成することで解決できるのである。
 結果、リミテッドスカウトにおいてサガの優先度は低くなっていたのだ。
 だがしかし。
 三枚も。三枚も引いてしまっていた。
 折角、三枚も引いたのだがら、戦力となるよう育成する…と云うのも選択肢としてはあり得なくもない。
 だが、やはり優先度は低いのだ。テキサスとエリジウムでコストを稼いで、マドロックを出す。これで盤面の安定感は段違いなのだ。サガを採用することでコスト回収力が低くなっては、本末転倒なのである。
 だが、しかし——
 葛藤するのである。
 御堂部長が私の目を真っ直ぐに見ている。彼女も折角の成果を上司に認めてもらいたいのだろう。
「仕方ない。御堂部長。リミテッドスカウトの成果は大いにあった。これは評価できることである」
 私の言葉に御堂部長は安堵の色を浮かべていたが、次の私の言葉を聞き、その表情はすぐに蜘蛛の子を散らすように消えてしまった。
「だが、サガの育成優先度はEのままとする。よって、当面はシー、ウユウ、炎獄ラヴァの育成を最優先とする」
 苦渋の決断であった。だが、仕方ないのだ。育成リソースは無限にあるわけでは無いのだ。優先順位をきめ育成する必要があるのだ。
「すまないな」
 私は御堂部長の肩をポンと叩いた。
 御堂部長の唇が微かに動いたが、その言葉は聞き取ることが出来なかった。