達成
「22等級クリアしました!」
突然の報告に私は我を失っていた。
たしか先日、21等級をクリアした時は、これ以上の等級のクリアは諦めていたはずであった。それがものの二日で更新されたのだから、当然と言えば当然のことである。
「いやあ。なんとかなるもんですね」
北濱係長が笑顔で私に言う。私も釣られて笑顔を作ろうとするが引きつってしまう。
「喜ばしいことに違いはないのだが、21等級から何を変えたんだ?」
「いや… 特に何も… タイミングっすかね?」
たまたまダメ元でやったらクリアしてしまったらしい。再現性はゼロに等しい。
「まあ、よかろう。これで完全にノルマは達成した。あとは育成に勤しむとするか」
「ええ。でも聞いていますよ? スルトをLv70 にするんでしょ?」
どこで聞きつけたのか、スルトをレベルアップする計画を北濱係長は知っていたのだ。
「あれ? なんか疑ってます? だってスルトが中途半端にレベル上がってるんで、勘づいちゃいますよ。そりゃ」
確かに。リザルト画面にはLv45と微妙にレベルが上がっているスルトの姿があった。
「間に合えば、そのスルトを実戦投入しましょう! 23等級クリアも間違いないでしょ!」
やけに北濱係長は上機嫌であった。
「そうだな。考えてみるか」
「おっ! そう来なくっちゃ! それじゃあ楽しみにしてますよ!」
北濱係長は終始上機嫌であった。
一方、私は、22等級クリアという吉報に対して、無謀ともいえる挑戦、23等級のクリアを目指す苦行を前に既に試行はそちらに向いていたのであった。