弊ロドスに関しまして。

アークナイツ。月パス。月スカ勢の活動記録

惨敗

 七月二七日午前三時五九分。
 危機契約「鉛封」は静かに幕を閉じた。
 私はその瞬間を一人オペレーションルームで迎えていた。
 惨敗ーー
 その二文字が私の脳裏に浮かぶ。
 確かに勲章は全て集めることができた。初週十八等級もクリアし、メッキ加工も出来た。デイリーも全て八等級クリアできた。
 だがーー
 恒常は二二等級までであった。
 目標は二四等級。前回が二三等級だったので一つ上の等級。至極真っ当な目標設定である。
 社内でも、その目標設定は弱気ではないのかと議論にはなっていた。だが、前回からあまり戦力補強がなされていない現状では、それ以上の成果は望めないとし、反対派の意見を押さえ、”最低限の目標”として二三等級を掲げていた。
 そして、その”最低限の目標”が果たせなかったのだ。これは経営責任を問われる失態と云わざるを得ないであろう。惨敗の後に”引責”の二文字が私の心に重く、そして、深く茨の様に突き刺さっていた。
 スルトマドロックを擁していても、あと一手、決めてに欠けていた…と私は分析している。今回の恒常のステージは巨像とマドロックとボブをどう捌くかが最大の問題であり、その捌きかたによりクリアできる等級が決まってくるといっても過言ではなかった。
 低い等級であれば、マドロックスルトの単体でこれらが処理できた。いや、マドロックとボブを落とすことが可能であれば、巨像二体を流す戦略が可能となっていた。だが、マドロックとボブを強化すると途端に、倒すことが出来なくなり、等級を上積みすることが出来なくなってしまっていた。
 何故なのか。
 勿論。配置やスキルタイミングの精度を上げることで、可能になる場面もあったであろう。だが、それを弊ロドスに求めるのは酷な話しであり、その可能性は一旦、棚上げする。
 話しを戻すと、足りなかったものは、術火力とデバフに尽きると云える。
 弊ロドスは物理、特に狙撃偏重の傾向が強い。狙撃の★6オペレーターは四人に対して術師はイフリータ、補助はアンジェリーナの計二人ある。イフリータは昇進1なので、実質的な戦力はアンジェリーナ一人だけである。やはり術火力が足りていないのは明確であろう。
 そしてデバフ。サリアのS3は特化3と頼れるものになってはいるものの、シャマレは物理のみのデバフ。減速もアンジェリーナのS1は辛うじて機能するものの、イースチナが昇進1、オーキッドも未昇進と戦力にはなっていない。
「課題は明白でしたね」
 いつの間にかオペレーションルームに入ってきていた藤堂部長。彼の目からも同じように弊ロドスの戦力を分析していたようであった。
「ああ。残念だが、認めるしかないだろう」
「で、次の一手はどうするおつもりですか?」
 藤堂部長の問いかけに私は深く息を吸ってから、吐き出すようにこたえる。
「シージコラボは一旦捨てて、シーを狙いにいく」
「ほお。それは”賭け”に出ましたな」
 そうであろう。シーの評価はあまり高くなく、どちらかと云えば同時に実装されるサガやシージコラボで実装されるアッシュのほうが注目されている。だがーー
「うちには術火力が必要なのだ。そしてスズランを狙ってみたい」
「ほう。これまた大胆な」
 藤堂部長は目を細める。
 スズランは1.5周年を記念したパックで引けるのではあるが、確率は★6の中では三分の一なのである。折角、予算を投入しても無駄に終わることもあり得るのだ。
「なに、構わないさ。今回の結果をうけ、何時までも座している訳にはいかないだろう。ここは大きく博打にでる。重点的に術火力とデバフの充実を図るしかないだろう」
 私の腹は決まっていた。
 更にはプラマニクス。彼女も昇進2にしたいと考えている。プラマニクスは弊ロドス創業時からのメンバーであるが、あまりにも初期のころは”半端な術火力”程度にしか認識されていなかったため、未昇進のままになっていた。だが、彼女のデバフも有効である。シージコラボに参加しなければ、余剰となった素材などの十分に育成が可能であろう。
「さあ、これが吉とでるか凶とでるかーー」
 賽は投げられたのだ。結果は次回の危機契約で明らかになるであろう。
 目標は二五等級。今回、果たせなかった分を上乗せした目標。
 これから弊ロドスはこの目標に向かい戦力を整えていく。
 どんな困難が待ち受けていようとも、きっと乗り越えてみせる。