弊ロドスに関しまして。

アークナイツ。月パス。月スカ勢の活動記録

畏怖

  私は震えていた。
 一体、何に怯えているのだろう。
 一体、何を恐れているのだろう。
 私の視線の先のモニターには次の内容が映しだされていた。

【予告】
 努力を惜しまない者たちへ
 
 危険な任務をこなし、報酬を手に生き残れ。
 ーー全ては、より多くの命を救うために。

  危機契約の開催を報せる予告である。また、予告では五月下旬に開催予定とあった。
「はやい。はやすぎる」
 狼狽した私は、無意識に言葉が漏れる。
 今、開催中の”2021 大感謝祭”は5月14日までである。通例で考えれば、終了後、一週間の所謂”虚無期間”を経てから次のイベントが開始されてきた。
 その”通例通り”で考えるなら5月21日から危機契約が開催される…のかもしれないのである。まだ、昇進2にしたいオペレーターは掃いて捨てるほどいる。これらを全て昇進2にする時間的な猶予はない。やはり早すぎる…のだ。
 弊ロドスの”読み”では、なんらかのイベントを挟んで、危機契約が開催される筈であった。この場合、イベントで純正源石や素材が回収できるので、そのタイミングでもオペレーターの強化は出来たの筈であった。だが、それも5月下旬の開催であれば叶わないだろう。
 どうして…
 混乱する私の脳裏には2月に開催された危機契約での惨めな想いが浮かび上がってきていた。
 前回の危機契約では、初週に18等級クリアが出来なかった。悔しかった…のである。
 私の執務室には、二度と同じ事を繰り返さない、その戒めとして壁にメッキ加工されていあに勲章が飾られていた。

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くやしい。くやしすぎる。

 あれから弊ロドスは幾多の困難を乗り越え、成長してきた。
 もう二度と同じことは繰り返してはいけないのである。
「あら、どうされたのですか? そんなに思い詰めた顔をして」
 秘書の飯島がコーヒーを淹れてくれていた。
 私は差し出されたコーヒーを受け取り、口をつける。
 何時もと変わらない味。このコーヒー。飯島が淹れてくれたコーヒーにいつも私は気づかされ、助けられていた。
 そして今も。私のなかで光輝くものが浮かびあがってきた。
 いつものこと…なのだ。
 そう、いつものこと。
 弊ロドスにおいて成長とは危機契約の初週18等級を目指して切磋琢磨してきたのだ。
 その舞台が5月下旬にきまっただけのことである。
 何を恐れることがあるのだろうか。
 私は飯島にお礼を伝える。飯島は「どういたしまして」と軽く会釈し、執務室をあとにしようとする。私はそんな飯島を呼び止め指示をする。
「これから緊急の経営会議を行う。各部の部長には、全ての予定をキャンセルし必ず出席するよう伝達してくれ」
 恐れるものなど何もない。きっと、弊ロドスのオペレーターなら遣り遂げてくれる。