深淵

　本日、運営より正式に危機契約#3が実施されることが発表された。
　期間は5/28（金）16:00〜6/4（金）3:59まで。半月に亘る熱い戦いの日々が始まるのだ。
　私は前回の危機契約のことを思い出してみた。
　前回の危機契約は2月上旬。弊ロドスは創業3ヶ月半といったところ。戦力はそれなりに揃えたつもりではあったが、初週19等級クリアは果たせなかった。
　そして今回。あれから4ヶ月あまりが経過している。戦力もイベントのEXステージ程度であれば、そこそこクリアできる程度にはなった。これも日々、人材育成部の面々が努力を続けてくれた結果である。
　今回の危機契約のキーとなるオペレーターはマドロックとスルトになるだろう。
　前回、弊ロドスに一番足りていなかった”殲滅力”をこの二人には発揮してもらいたい。勿論、シルバーアッシュの真銀斬も要所で問題を解決してくれることだろう。
　本当に前回からの戦力が向上した部分は枚挙に暇がない。これ以上ないほどの手応えを感じているといっても過言ではない。
　だがしかし予断は許されない。
「飯島君。各部の部長に木曜日に緊急会議を行うことを周知してくれ」
　秘書の飯島はこの時を待っていたかのように、直ぐに「かしこまりました」と応える。
「議題は勿論」
　危機契約についてだ。
　飯島は私の言葉を最後まで聞くことなく、キーボードを叩いていた。

　そして私は再び瞼を閉じた。
　金曜日までに出来ることは何かないのか…
　思案を重ねるうちに、意識は深い海の底へと誘われていった。