弊ロドスに関しまして。

アークナイツ。月パス。月スカ勢の活動記録

枯渇

 経営の危機に瀕しているのだろうか。
 資材管理課、阿黒課長が珍しく沈痛な表情を浮かべている。
「どうした? 何か困っていることでもあるのか?」
 私の問いにも「うへぇ」と溜息と返事がまぜこぜになったような声を出す。
「それじゃ、わからないよ。 どうしたんだい?」
 実篤さん。阿黒課長は、その篤実な性格から、実篤さんと渾名されている人物である。その実篤さんが悩みを抱えているのである。私は再度、問いただした。
 ようやく実篤さんは何を語るべきか決心がついたのか、小さく「よしっ」と気合いをいれた。
「折り入ってお願いしたいことがあって伺いました」
 そうであろう。それは承知している。
「少し申し上げ辛いことなのですが……」
 実篤さんの声が急に小さくなる。先程の「よしっ」と踏ん切りをつけたはずです。そこまでして言いづらいことなのだろうか。私は次の耳を傾けた。
「このところ、オペレーターのスキル特化作業をものすごい勢いでされているのですが……」
 その通りである。スキル特化は素材こそ少し重めの作業であるが、確実に戦力の向上が見込まれるので、危機契約前までにめぼしいスキルは特化したいと考えていた。
「ふむ。危機契約を見据えると今のタイミングしかないからな。スキル特化は弊ロドスの最優先課題だ」
「ええ。それは存じているのですが…」
 語尾が消え入りそうであるが、私には聞き取れた。
「枯渇しているのか?」
「はい。それはもう凄い勢いで。特化3にはかなりの量の素材が要求されます。もうすでにRMA70-12は底を尽きました。次は中級糖源が底をつく見込みなんでさぁ」
「だが、それはある程度、想定していたはず。実篤さんだって、了解していただろ?」
「そうなんですがね。素材はまあ、想定通りですが純正源石が底を尽きそうなんです」
「なにい?」
 私は思わず聞き返した。
 純正源石は月初にスカウトパック分と感謝祭パックであわせて百個以上は入手していた。しかもイベントでは十個以上の純正源石を手にいれている。これでも足りないというのか?
「ええ。足りないですね。次はシャイニングのE2を予定していると訊いていますが、おそらく無理でしょう」
 それは由々しい事態である。
「実篤さんの言いたいことは判った。だが、弊ロドスは危機契約にむけて全力で準備を行っている最中だ。ここで純正源石の消費を渋っては、今までの努力が水の泡になってしまう。ひとまずこの件は私に預からせてくれ。また、おって連絡する」
 私はその場を誤魔化すことしか出来なかった。
 育成計画を見直してみる…か…