目標
昨日、18等級をクリアしたばかりであったが、今日も記録を更新していた。
19等級クリア。
わずか1等級であるが、1等級上げるだけでも以前の戦いかたは通用しない。
気が遠くなるほどの試行錯誤を繰り返した先に、答えがある。
危機契約とはそんな世界なのだ。
「どうだ。もう少しいけそうか?」との問いに湊部長は無言で首を振る。
20等級。弊ロドスとしてもこの大台は是非、到達したいところではあった。危機契約開始前は夢幻と思われた20等級は、すぐ目の前にある様に感じる。だが、現場を預かる湊部長の感覚は冷静であった。
「そうか。駄目か」
私は落胆の色が隠せなかった。
「二週目以降の契約内容に次第では、なんとかなるかも知れませんが、今の契約内容では難しいでさあ」
「それは同感だ。防御力アップや特定の敵の能力アップの契約をこれ以上上乗せするのは、たし無理だ」
「まあでも、最後の瞬間まで足掻いてみせますよ。そりゃその為の攻略部なんで。こっちにも意地ってゆうもんがあるんで」
湊部長は私が落胆したのを察してか、珍しく私を励ますかのようなことを言う。
「それは心強いな。では、18等級クリアを目途に新しいチャートの構築を目指すこととするか」
「わかってらぁ」
湊部長は直ぐに部下に指示をだす。その想いのこもった指示を部下が目を滾らせる。一言たりとも聞き逃さない意気込み、熱い熱量がこちらにも伝わってきた。
20等級クリア。18等級をクリアした弊ロドスの次なる目標。
難題ではあるが、きっと実現できるだろう。湊部長の心意気。それがきっと未来へと繋がっているはずなのだから。