弊ロドスに関しまして。

アークナイツ。月パス。月スカ勢の活動記録

代償

 等価交換。
 昔観たアニメの主人公がしきりに口にしていた台詞。
 意味は何かを得る為には何かを失わなければならない。そんな意味だったと憶えている。
 そして今、その台詞の意味。等価交換の意味を現実に理解しなければならなかった。

 

「もう、純正源石が割れないというのか?」
「ええ。申し訳ございませんが、これ以上は弊ロドスの運営にも影響が出かねません故」
「危機契約を乗り越えなければ、そもそも運営など成り立たなくなるのだぞ。それでも割れないと言うのか?」
 朝から押し問答を繰り広げている。相手は藤堂部長と実篤こと阿黒課長の二人。
 シャイニングを昇進2にするにあたって純正源石が割れない。これ以上は割れないというのである。
「だが、しかし。要求素材の一つ、上級異鉄の素材周回では割ったではないか。ここで石を割って素材を集めなければ危機契約には間に合わないぞ」
「そう仰有っても無いものは割れないのである。弊ロドスでは純正源石を最低限15個は確保するように内規が定められています。もう既に15個を下回っており、ナノフレーク分の素材を回収するとなると、おそらくは5個。5個を下回ることになります」
「そうなんでさあ。資材管理課としてもこれ以上はちょっと勘弁して欲しいんでさあ。いや、気持ちは判らんでもないが。ここは穏便に…」
 穏便にも何にあったものではない。危機契約。危機契約を乗り越えなければ意味がない。それなのにこの状況で平時の運営を求めるのはナンセンスなのである。
 だが、冷静に考えればシャイニングの昇進2が必須なのかと問われれば、必須という根拠はない。望ましいのは確かだが、この時点で強行することなのか。のちに経営状況を問われる場面があるとなれば、この判断の是非は問われるであろう。
 妥協案。折衷案。落としどころ。様々なフレーズで語られる双方が合意できる点を探らねばならないだろう。
「わかった。そこまで言われるのであれば、純正源石を割ることは控えよう。だが、石があればいいんだな?」
 私の台詞に藤堂部長は何かを察したようだ。
「添島部長を呼んでくれ。攻略部に石を回収できるステージの攻略にあたらせる」
 私が秘書の飯島に指示を伝える。ほどなくして添島部長が現れるだろう。
 そして、また議論がなされる。いくつ石が回収できるのか。石が何個回収できれば、昇進の為に石を割ることができるのか。
 何かを得る為には何かを失わなければならない。
 正にこれからその議論が行われようとしていたのであった。