弊ロドスに関しまして。

アークナイツ。月パス。月スカ勢の活動記録

苦難の果てに

「こんなはずでは…」
 オペレーションルームでは、こんな溜息が充満していた。
 復刻イベントなので難易度は低いと見積もっていた弊ロドスではあったが、おもいのほか「喧噪の掟」のEXステージの難易度が高く苦戦が強いられていた。
 特に最終ステージの強襲。コマンドシステムの起動に1.5倍のSPが必要とシンプルな内容ながら、これが地味にキツい。コマンドシステムを起動しないと配置できるオペレーターの数に制限が課せられる。この状況が長く続くなかで、ブロック無視のシロアリ隊長や3ブロ必須のロードローラーが登場するのだ。このコマンドシステムを起動するまでをどの様に凌ぐのかが攻略の第一段階と云えた。
「シロアリ隊長はマンティコアとロスモンティスの範囲攻撃でなんとかしましょう」
 北濱係長がいう。私もその意見には同意だった。シロアリ隊長は範囲攻撃で始末するのがセオリーである。だがしかしである。
「それでは、ロードローラーがブロック出来ずに通りすぎてしまうだろう」と添島部長が異を唱えた。たしかに。それも一理ある。
 あまりにシロアリ隊長の対策にコストをかけるとロードローラーのブロックが出来なくなってしまう。この相反する条件をクリアするルートが浮かび上がらない。
 オペレーションルームでは、失敗を重ねるごとに溜息が漏れていた。
 演習チケットの枚数が少なくなってきたところで、攻略部の若手から提案の声があがった。
「医療を使いすてにして、一定の回復が出来たら撤退させることで配置数を稼ぎませんか?」
 私はその提案をきいて驚きを感じた。
 これまでの弊ロドスの戦術で医療を途中撤退させるということはやったことがなかった。だが、必要なだけ回復させれば医療は不要だというのは正しい選択だと思えた。
「君、名前は?」
「攻略部、攻略第一課の川上です」
 若者が応える。きっと弊ロドスを背負っていく人物とは、このような人物なのかも知れない。先入観に囚われず、必要なことを判断できる。私はそんな若者の登場を頼もしく感じていた。
「川上君か。では、そのプランで攻略してみよう」
 糸口は直ぐに掴めた。なんどか試行は繰り返す必要はあったものの、クリアまでの道筋が見えていた。先程までのオペレーションルームの重苦しい雰囲気が嘘のように希望に満ち溢れた雰囲気に変わっていた。
「スキルタイミング調整してみようか」「撤退のタイミングがシビアだな」
 建設的な意見も飛び交うようになってきた。これならクリアは時間の問題であった。
 そして、遂にクリアの瞬間が訪れた。
 オペレーションルームは歓喜の輪が出来上がっていた。そしてその中心には川上の笑顔があった。